映画『ゼロ・グラビティ』レビュー
「いつか映画の感想を書くような自分のメディアを持ったら、これは絶対に書きたい」と思っていた作品があります。
モチベーションが高いうちに書いてしまいましょう! ということで。
『ゼロ・グラビティ』
〜あらすじ〜
メディカルエンジニアを務めるライアン・ストーン博士が、指揮を務めるマット・コワルスキーらと宇宙空間での船外活動作業を行う最中、緊急連絡が入った。“スペースデブリ(宇宙ゴミ)が大量かつ高速で接近している”――船内に避難するよう指示が下るが、ライアンらの退避も間に合わずスペースシャトルごとスペースデブリの波に襲われる!
スペースシャトルと己とを繋ぐ部位が破壊され、宇宙空間にひとり投げ出されたライアン。パニックに陥り、呼吸が荒くなる。もちろん地上ではないのだから、酸素の量は限られている。事態は悪い方にしか進んでいかない……
自分の意思では身動きの取れない無重力空間(ゼロ・グラビティ)。酸素のリミットも近づいている。果たしてライアンは無事に地球の土を踏むことができるのか……?
この映画はヴェネツィア国際映画祭のオープニング作品に選ばれたり、アカデミー賞などの名立たる賞を受賞していたりと、すごい作品なのですが、そういう情報はWikipedia先生を参照ください。
ちなみにこの先生、あらすじ項にオチまで書いてあるのでネタバレされます。 受賞などの対外評価はページ半ばの評価項にあるので、そこまで一気にスクロールしていただくか、次のリンクから飛んでください。ページトップではなくいきなり評価項が開きます。そこから上にスクロールしてあらすじ項に達するとネタバレとご対面しますので、お気をつけください。
なお、Wikipediaには記述がありませんが、スピンオフムービーが公開されています。 本編のネタバレを含みますので自己責任でどうぞ。
これはこれで一つの作品のようで、状況さえわかれば単体でも楽しめそうなのですが、いかんせん英語なんですよねぇ……というわけで、有志が日本語字幕をつけてくれたものも置いておきます。
ゼロ・グラビティ スピンオフ Aningaaq [日本語字幕付き] - ニコニコ動画
劇場公開はおおよそ2年前なので、今更叶わないのでしょうが……この映画は、劇場で観るべき映画です。それも、スクリーンがなるべく大きくて、低音までしっかり出してくれるいいスピーカーを備えた、良い劇場で。
ワタシがこの映画を観たのは、2014年1月1日です。ええ、そう、元日。だって、映画の日ですもん。 公開直後だったのもあり、TOHOシネマズの超デカいスクリーン『TCX』で、スピーカーも『DOLBY ATMOS』の、当時としては最高の環境で観ることができました。
後述する“原初的な恐怖”を味わうには、それほどの環境が必要です。没入できることが大事なので、映画以外の情報が差し込まれやすい自宅は向かないでしょう。
この記事を書いている現在2016年、東京ゲームショウではVRデバイスで大盛り上がりでしたね。アレなら没入感も最高でしょうし、普通に映画観るのにも最適だと思うんですよね。もうちょっと安くならないかな……。
原題 | 『GRAVITY』 |
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製作 | 2013年, アメリカ合衆国 |
主演 | サンドラ・ブロック ジョージ・クルーニー |
鑑賞環境 | 劇場 |
言語 | 吹替なし/日本語字幕 |
WEBサイト | 映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト |
My評価は★★★★☆! 総合的に良かったんですけど、あぁ〜〜〜後述します。
さて、ここから先はレビュー本文です。ネタバレも含まれると思って、どうぞ。
ビジュアル
どのシーンでも終わりの見えない宇宙の闇が広がっています。宇宙好きにはたまらないですね。
ワタシは宇宙好きですけど、同時に怖いとも思っているので、割と気が気でなかったようなw 内容も内容ですしね。
ストーリー
上記ではネタバレガーって言っておりましたが、この映画に関しては、ネタバレされても面白さは半減しないと断言したい。もちろん十全とは言いませんが。
ライアン博士が生き残る努力をすることもままならずに宇宙の藻屑と化すオチは、大衆向けエンターテイメントとしては考えにくいです。
つまりライアン博士は無事に地球の土を踏むことができるわけですが、そこまでの波瀾万丈、紆余曲折……。そこがこの映画の肝なので
「どんなピンチに陥っても、どうせ最後には無事に地球に帰れるんだろ〜w」
みたいな軽い展望で映画を観始めたとしても、途中から
「いやいや、無事に地球に帰r……か、帰れるし……」
と手に汗握りながら彼女の運命を見守ることになります。
なにより、ライアン博士役サンドラ・ブロックの演技が凄絶すぎるので、オチを知っていたとしても危機的状況の緊迫した雰囲気が損なわれません。
オマケ:邦題???
「絶対怖い!」って思いながら観にいったんですけど、やっぱり怖かった!
ホラーなどでは味わい難い、原初的な恐怖を味わったのは久し振りで、とても新鮮でした。
地上に縛り付けられて生きるワタシたちにとっては〈重力〉というのは当たり前のもので、特段意識することもないのに、疑えるはずもない存在。しかし、この映画中ではその当たり前がほとんどない。
無重力――“zero gravity”。
だから邦題を『ゼロ・グラビティ』にしたのだと思うんです。
――いや、とんでもない。
〈重力〉を当然のものとして享受して生きているワタシたちが、どうしようもなく〈重力〉という存在を叩きつけられる。
この映画は“gravity”、〈重力〉そのものだと、ワタシは思います。
こういうことはあんまり言いたくなかったんですが、なんで“無重力”に重きをおいた邦題にしてしまったのか……?
日本に入ってくるとポスターがダサくなったり、そそられない煽り文になっていたり、PV詐欺だったりすることがままありますけど、この邦題は本当に謎です。